2005年10月20日

外断熱の謎

「外断熱はなぜ快適なのか?」

 この謎を解く鍵は『輻射熱(ふくしゃねつ)』にあると考えます。

 輻射熱とは、熱線が放射熱とも言います。

 真夏のアスファルトの路上は、気温以上の暑さを感じますよね?
 これは、アスファルトが太陽で温められ、その暖められたアスファルトから放射される熱が人体に影響を与えるからです。
 
 快適な室内空間は実際の気温よりも体感温度に左右されます。
 そして、体感温度は、次の計算式で算定されます。

 体感温度 = (室温+壁・天井の輻射熱)÷2

 つまり、室温が30度の時、建物の温度が20度なら体感温度は25度ということになります。

 今までご紹介したデータから、外断熱建築物は外気より暑くなることは滅多にありません。
 したがって、実際の気温以上に心地良く感じるのです。

 それではまた明日。

 明日は、「外断熱工法のいろいろ」
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2005年10月19日

外断熱との出会い その13 「気温データ比較」

 グリシーヌ入居者のご承諾を得て、約2年間、室内気温のデータを取らせていただきました。
 内断熱建物のデータは、近隣に住んでいる私の家(RC賃貸マンション)で採取しました。
 (グラフをクリックすると拡大されます)

soto-gurahu.gif
 ▲外断熱


uti-gurahu.gif
 ▲内断熱


 各月の最高気温と最低気温を記録しました。

 内断熱は外気温に大きく影響を受けていることがわかります。
 これに対して、外断熱の建物では、外気温の影響が小さく、年間を通じて大きな温度変化がありません。
 (1ヶ月の最大温度差 内断熱:15度 外断熱:4度)

 冬季、最も寒くなる北向き部屋の床面と最も暖かな南向き部屋の天井面との最大温度差は内断熱では8度、外断熱では2度の差となっています。
 外断熱の建物では底冷えしないことが示されています。

 外断熱工法だからこそ、室内の壁面をコンクリート打ちっ放しで飾っても、寒くないことがデータで証明出来たと思います。

 それでは、また明日。
  明日は「輻射熱」
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2005年10月18日

外断熱との出会い その12「アンケート」

 繰り返しになりますが、外断熱賃貸マンションは当初周囲から猛反対に合いました。

 曰く、「外断熱では家賃は取れない」「投資の無駄」「仮住まいである賃貸には贅沢」と。

 しかし、私は賭けました。人類の革新に。

 「人類の革新」というのは冗談ですが、私なりの勝算はありました。 
 「外断熱で建てれば躯体が長持ちする」
 「住み心地が良ければ、長く入居してもらえる(=家賃が下落しない」と。

 単なる「新し物好き」が大部分という話もありますが…

 
 外断熱に対する評価を下すため、入居1年後にアンケートを取りました。
 (全12戸中、回答が得られたのは6戸)
 詳しい結果については、こちら

 その結果から分かったことは、

1.ほとんどの人が「外断熱」のことを知らずに入居した。
 つまり、「外断熱」は賃貸の売り文句としてはまだまだ弱いこと。

2.住んでみて外断熱に興味を持っていただいたこと。

 
 その他、
「初めは気にしていませんでしたが、実際に冬過ごしてみて、とても温かくすごしやすかったので、とても気に入っています。」

「外が暑い時でも部屋の中はすずしいのですごしやすい。外から帰ってくるとよくわかる。
 先日友人を招待したが、かなり評判が良かった。地下鉄の駅までは少し遠いが、部屋等のことを考えれば、苦にならず満足している。」

「冬が大変暖かく、子供を薄着にさせていたら外出時に風邪をひいてしまった(笑)」

 などのご意見を頂いております。

 また新たに入居された方からも、
「夏季に何件も物件を見て回ったが、この部屋だけ涼しかった」というお言葉もいただきました! 


 正直、私としても「建ててみなければわからない」部分が大きかったので、このアンケート結果を見て泣けてきました。
 住んだ結果、外断熱の良さに気づいてもらえれば、徐々に外断熱が浸透していくかも知れません。
 (外断熱とか猫の話とか。「外断熱」の臨界点、参照

 
 それでは、また明日。
  明日は、「室内温度データ」
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2005年10月17日

外断熱との出会い その11「施工」

 今宵は、外断熱の施工現場をご紹介します(写真:日本省エネ建築物理総研さん提供)。


 従来の内断熱については、「マンションリフォーム現場日誌」さんをご参照下さい。


 そして、外断熱。
 seko01.jpg
 まず、建物躯体に金属のアンカーを打ち込みます。

 seko04.jpg
 つぎに職人さんが断熱材(グラスウール)を押し込みます。

 seko02.jpg
 断熱材、設置完了。

 seko03.jpg
 そして、それを押さえる金物をつけてあとは仕上げ材をつけて完了です。
 
 いかがでしたか?

 明日へ続く・・・
 明日こそ「アンケート」
 
posted by 外断熱 at 21:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 外断熱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月16日

外断熱との出会い その10「決定」

 そんなこんなで計画実行を決定したのが、2003年1月。

 それから約半年。
 同年8月に完成しました!
 名古屋初外断熱賃貸マンション「グリシーヌ藤英」。

kita-syasin.gif
syasin-yoru.gif
 
 パース通りにしっかり作ってもらいました。
 
 ただ、この時点でも外断熱の効用はわからないため、入居者の了解を得て温度を測定し、一年後にアンケートを取りました。
 ちなみに、「外断熱」を理由として入居した方は当時一人もいませんでした…


 つづく  
 次回予告「アンケート」
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2005年10月15日

外断熱との出会い その9 「室内」

 室内の仕上げは、コンクリート打ちっ放しにしました。
 1l.jpg

 1l2.jpg

 打ちっ放しは好みがハッキリ分かれる素材です。
 ただ、賃貸ならではの個性的な居室をお探しの客層が存在すると考えて選択しました。
 飽きれば引っ越せばいいのが賃貸の良さですから。

 というのは建前で、本当は単なる私の趣味です(笑)。

 しかも、建物の外側に断熱材が配置される外断熱のため、見た目とは裏腹に冷えません。
 退居時のクロスの張替面積も減らせるので大家にも優しい仕上げです。


 明日へ続く

 次回予告「決定」

 
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2005年10月14日

外断熱との出会い その8 「気密と換気」

 RCの建物は在来木造の建物と比較して気密性が高く、エネルギーのロスが少なくてすみます。
 そして、気密性が高いと居室内の空気が汚れていくので換気が必要となります。
 しかし、換気によって室内の気温が外気の影響を受けてしまうようでは、せっかくの気密性の意味が無くなってしまいます。
 あちらを立てればこちらが立たず、という状況です。

 そこで登場するのが、「熱交換気システム」。

 netukou.jpg
 熱交換型換気システム イメージ図

 冬季には室内から出て行く空気でフィルターを温め、屋外から入ってくる空気もそのフィルターを通すことで冷たい空気を暖めて室内に入れる、という仕組みです。

 これによって、一時間当たり、0.5〜1.3回室内の空気が入れ替わることになります。
 
 ただ、この換気システムは半年ごとに業者によるフィルタ清掃が必要なので、なかなかに面倒です(笑)。(「外断熱とか猫の話とか。」さんの『フィルター交換の巻』参照)
 現在建築中のマンションについては、入居者が自ら交換できる場所に設置する予定です。


 また明日・・・
posted by 外断熱 at 19:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 外断熱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月13日

外断熱との出会い その7 「サッシ」

 熱橋対策も重要なのですが、それよりも重要なのがサッシです。
 冬季には窓ガラスからは大量の熱が逃げ、アルミサッシではサッシ回りが結露でひどい事になります。
 逆に夏季には、日射によって室内の気温が上昇してしまいます。

 そこで、サッシは樹脂製サッシを。
 窓ガラスには外部からの熱を反射し、内部の熱を逃がさないLow-Eガラスをペアガラスで採用しました。

 このサッシは大変高価なので悩みましたが、サッシ回りを後年工事するのは困難なので思い切って採用しました。

  
mado.bmp
 イメージ図(野原産業株式会社)

 明日へ続く・・ 次回予告「気密と換気」
posted by 外断熱 at 18:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 外断熱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月12日

外断熱との出会い その6 「熱橋」

 熱橋について補足します。
 熱橋とは、「熱を伝える橋の意味で、断熱材の内と外を貫いて熱を伝達する部位のこと」です。

 次の図をご覧下さい。
 netu.jpg
 外気温が0度、室内が20度。

 廊下と建物本体の接続部分から外気温が建物本体に影響を与えていることがわかります。
 この部分が熱橋です。
 
 夏季の南側のベランダでも同様のことが起こります。

 この熱橋を如何に減らすかが、外断熱建築物の一つの課題となります。

 ただ、廊下・ベランダ程度の熱橋があっても、内断熱建物と比較すれば居住性は良くなりますから、気にし過ぎるのも良くないかも知れません。
 既製の商品を買って来るのと違い、建物は建ててみないとわからないことが多いのが難しいところですし、面白いところです。 

 また明日
posted by 外断熱 at 23:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 外断熱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月11日

外断熱との出会い その5 「外断熱の弱点」

(昨日の続き)
 私は一目でこのデザインが気に入りました。

 一般に外断熱の建物は「施工が難しく、デザインが制限される」、言われていました。
 つまり、建物に凹凸があると施工が困難になり、熱橋(熱を伝える橋の意味で、断熱材の内と外を貫いて熱を伝達する部位のこと)が生じ易くなるため、外断熱建物では出来る限り凸凹のない長方形(正方形)が好まれデザイン性で劣る、と言うのです。
 
 特にベランダや共用廊下部分を如何にデザインするかが問題でした。
 例えば金属製のベランダを後付けにしたり、共用廊下まで断熱してしまうという処置がとられているようです。


 これに対して、日東建設が提案してきたデザインは、凹凸だらけで外断熱には不向きのように見えます。
 しかし、次の建物配置図をご覧下さい。
 haichi.jpg
 この建物は長方形の居室部分のみで断熱ラインを保ち(赤い線)、ベランダやエントランス・共用廊下は別の構造体として建築し、熱の伝導率が低いステンレスで建物本体と接続する、という構造をとっています。
 (したがって、今見てもわかりませんが、建物と廊下の間には若干の隙間があります)。

 そのため、一見凹凸の多い建物に見えながら、熱橋が出来にくいデザインが実現出来ました。

 明日へ続く
posted by 外断熱 at 20:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 外断熱 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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